著者
山本 奈生 長光 太志
出版者
佛教大学
雑誌
社会学部論集 (ISSN:09189424)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.61-75, 2015-03-01

本稿では個々の大学生が就職活動の経験を経てどのように内定先を決定し,その進路を受容しているのかを問題とする。すなわち就職活動の厳しさや「自己分析」の必要が語られる昨今の状況を,大学生諸個人はどのように経験し,最終的な進路へと至っているのかを分析した。ここで用いるデータは私立大学の卒業生に対するインタビュー・データである。本研究では社会学的な就職活動研究における,個人的な範疇の社会関係資本に関する議論や,就職活動過程の研究を踏まえながら,インフォーマントらは自身の進路をどのような合理性をもって選び取ったのかを明らかにする。本研究の含意としては社会関係資本の多様性が,就職活動の私的経験を相対化する作用を持つ可能性が示唆されたことや,それほど「自己分析」に拘泥せずに,過去の労働経験など具体的な経緯から内定先を決定する学生の範型が示されたことにある。

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