著者
川﨑 弘作 中山 貴司 松浦 拓也
出版者
日本理科教育学会
雑誌
日本理科教育学会理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.241-249, 2012-11

本研究では,振り子に関する子どもの認識を基盤とし,振り子の概念を獲得させるための学習指導法を考案することを目的とした。認識調査に基づき考案した学習指導法は,次の(1)〜(3)の3点に集約できる。(1)振り子の周期と「おもりの重さ」「振れ幅」「糸の長さ」の3条件との関係を,「速さ」と「移動距離」という視点から考えさせる,(2)振り子の始点と終点は同じ高さになることを提示する,(3)「おもりの重さ」によって「速さ」が変わらないことを提示する。そして,小学校第5学年の児童69名(実験群35名,統制群34名)を対象に,実験群には考案した学習指導法を,統制群には通常の学習指導を行った。振り子に関する概念調査を行った結果をもとに共分散分析を行ったところ,学習から2ヶ月後の概念調査時において実験群の方が統制群よりも得点が有意に上昇しているという結果を得た。以上のことから,本研究で考案した学習指導法は,獲得した概念の定着に有効であることが明らかになった。

言及状況

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振り子の学習前に,「自由落下運動」を取り入れた指導を行うと,おもりの重さで周期が変わらないことを適切に予想できる。 予想から導出された「結果の予測」と同じ結果が得られたら,自分がつくった予想に対するコミットメントは強化される。 https://t.co/mgbzqawFoj https://t.co/d6TDUKAHEd
振り子の学習における先行的了解は,次の3つ。 ①振り子の周期は,「速さ」と「移動距離」で説明できること ②振り子の始点と終点が同じ高さであること ③「振り子の重さ」によって「速さ」が変わらないこと この3点を仮設設定前に指導することが大切だと考えています。 https://t.co/mgbzqawFoj

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