著者
木内 貴弘 岡田 昌史 奥原 剛 加藤 美生 石川 ひろの
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.312-317, 2015-08

2004年 9 月,ICMJE(International Committee of Medical Journal Editors)傘下の学術雑誌有志による臨床試験登録の必須化を求める声明によって,多くの日本国内の医学研究者から,日本国内に日本語の取り扱いができる臨床試験登録サイトの構築を行うことが,要望された.このため,大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)では,2005年 6 月 1 日より,日本初の臨床試験登録システムとして,UMIN臨床試験登録システム(UMIN CTR=UMIN Clinical Trial Registry)を運用開始した.データ項目や運用法は,ICMJE声明の提唱する基準を満たすように設計され,UMIN CTRは,ICMJE(International Committee of Medical Journal Editors)の認定を得た 5 つのサイトに含まれた.日本を主体としながらも,世界中からの臨床試験登録を集める国際的なサイトとして認知されてきた.UMIN CTRはWHOの定めた必須項目をすべて含んでおり,JPRN (Japan Primary Registry Network)を介して,WHOの全世界臨床試験ポータルサイトへのデータ提供も行っている.登録件数は年々増大して,合計で 1 万 7 千件以上にいたっている. 2013年11月には,匿名化した個別症例の生データを臨床試験登録データに追加できる症例データレポジトリの運用が開始された.これによって,臨床データの散逸防止と長期保存が可能になること,相互チェック・査察のための臨床研究データの質の担保ができること,そして,論文で公表された以外の新たな知見を得るための統計解析のリソースとしての活用が可能となった. 現行の問題点としては,実施責任組織,研究費提供元,病名のためのマスターがなく,文字列入力となっている点が挙げられる.実施責任組織と研究費提供元については,現在,マスターと関連するシステムの改造が実施されており,2015年度中の実現が予定されている.病名については,改善の目途がたっていない. 臨床試験登録情報の内容と形式については,CDISCにおいて,標準化の作業が進められている.CDISCによる標準化の完成度の向上を待って,CDISC標準によるデータの受け入れと取り出しができるようになることが望まれる.

言及状況

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