- 著者
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浜口 允子
- 出版者
- 一般社団法人中国研究所
- 雑誌
- 中国研究月報 (ISSN:09104348)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.9, pp.1-18, 2015-09-25
本稿は,日中戦争期に,華北政権がいかなる地方統治を行ったか,それは基層社会にどのような影響をもたらしたかを主たる課題として問うなかで,とくに物流と交易の仕組みに着目し,河北省で1941年から始められた交易場制度について考察したものである。そしてそれが,旧来の包税制度を廃止し,取引税を直接徴収するための措置と関わるものであったことを明らかにした。それは,政権による財政基盤の強化策が物流の場に及んだものであり,その過程では統治の末端を担う新たな人材をも生みだしたのであった。この変化はその後の社会にも影響を与えたと考えられる。