- 著者
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正木 響
- 出版者
- 社会経済史学会
- 雑誌
- 社會經濟史學 (ISSN:00380113)
- 巻号頁・発行日
- vol.81, no.2, pp.239-260, 2015-08-25
本研究は、19世紀にフランス領インドのポンディシェリで生産され、フランスを介在してセネガルに運ばれ、そこでローカルな交易の交換手段として利用されていた藍染綿布ギネ(guinee)の植民地間交易の実態に迫ることを目的とする。本論文の構成は以下のようになる。まず、先行研究に基づいて、セネガルでギネが交換財、つまり貨幣として受容されるに至る背景と、フランスが19世紀にポンディシェリにてギネの大量生産を行うに至る経緯を見る。次に、ギネの特徴やセネガルにおけるギネの利用方法と、フランスからセネガルに輸出されたギネの量と価格の変遷およびポンディシェリ産ギネの比率を1833-1921年期間について示す。また、19世紀には、フランスのボルドー港が当該交易のハブとなっていた事実も明らかにする。続いて、このギネ交易を管理するために19世紀に発令された法律等を時系列に沿って提示し、幾度となく繰り返されるフランスの政策見直しや経済環境の変化が,グローバルに散らばる各アクター間の利害対立や諸関係の変化を招いたことを強調する。