- 著者
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久保田 美佳
- 出版者
- 関西外国語大学
- 雑誌
- 研究論集 (ISSN:03881067)
- 巻号頁・発行日
- vol.103, pp.71-87, 2016-03
視覚動詞 look/see、「みる」/「みえる」には、物理的に視覚で知覚する意味と、心理的なイメージを伴う心的に知覚する意味の両方があるが、本稿では、主に物理的な視覚による知覚について認知言語学的に比較・分析する。一般的には look at が「みる」、see が「みえる」であると考えられているが、これら日英の視覚動詞のそれぞれが独自の意味範疇を有し、このような単純な対訳では不十分であると思われる。このことを考察するために、これまで意味特定の基準として広く用いられて来た「動作主の有無」の妥当性を問うとともに、生態学および認知科学的な視覚情報の処理プロセスに関する知見を基に look/see、「みる」/「みえる」によって喚起される概念や機能の顕在化または希薄化の傾向を示し、言葉自体の意味が文脈によって変化する可能性を検討する。