- 著者
-
畠山 真一
- 出版者
- 尚絅大学
- 雑誌
- 尚絅大学研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
- 巻号頁・発行日
- no.48, pp.101-111, 2016-03-31
本論文では,近年著しい発達を見せているVFX/CG(視覚効果・コンピュータ・グラフィックス)を利用して制作された実写映画とアニメーションを,作り手のコントロールという観点から分析する。さらに,本論文は,バルトの言う「鈍い意味」(物語に関与しない表象)についても考察する。「鈍い意味」とは,映画において意図せず撮影・投影され,かつ物語内容に貢献しないような表象である。バルトは,この表象の存在こそが,映画とその他の芸術とを差異化する要素であると主張した。本論文は,VGX/CGを利用することによって投影されるものを完全にコントロール可能な実写映画においても「鈍い意味」が残存していることと指摘する。