著者
畠山 真一
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.29-42, 2014

本論文では,日本のポップカルチャーの根幹をなす「カワイイ」概念を分析し,それが,ロボット工学における「不気味の谷」現象と関係づけられることを主張する。「不気味の谷」現象とは,ロボットが人間に似てくれば,似てくるほど,あるレベルの類似度までは、共感度・親近感が上昇していくが,その類似度が一定を超えると,「不気味」に感じるようになるという現象である。この不気味に落ち込んでいく部分が「不気味の谷」と呼ばれる。本論文では,カワイイが,その不気味の谷の直前に位置するプロダクトに当てはまる概念であることを主張する。
著者
畠山 真一
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.15-30, 2018 (Released:2018-07-11)
参考文献数
14

本研究は, リアリティ水準と多レイヤー性という観点から, 現実世界と結びついているアニメーション作品を分析し, ロトスコープを使用する作品が持つ「不気味さ」が何に起因するかを明らかにすることを目的としている。Lamarre (2009) が述べるように, アニメーション作品は多数のレイヤーを重ね合わせて虚構世界を創りだすという特質 (多レイヤー性) を持っている。この特質によって, アニメーション作品はそれぞれのレイヤーにおいて異なったリアリティ水準を設定することが可能となっている。本研究では, 多レイヤー性とリアリティ水準という2つの理論的装置がアニメーション作品を分析する際に極めて大きな役割を果たすことを示す。
著者
畠山 真一
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.29-42, 2014-03-31 (Released:2019-02-06)

本論文では,日本のポップカルチャーの根幹をなす「カワイイ」概念を分析し,それが,ロボット工学における「不気味の谷」現象と関係づけられることを主張する。「不気味の谷」現象とは,ロボットが人間に似てくれば,似てくるほど,あるレベルの類似度までは、共感度・親近感が上昇していくが,その類似度が一定を超えると,「不気味」に感じるようになるという現象である。この不気味に落ち込んでいく部分が「不気味の谷」と呼ばれる。本論文では,カワイイが,その不気味の谷の直前に位置するプロダクトに当てはまる概念であることを主張する。
著者
畠山 真一
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.15-29, 2019

本研究は,萌えアニメ作品における「声」と「不気味の谷」の関係を分析し,萌えアニメ作品で実現されているリアリズムがどのようなものであるかを明らかにすることを目的としている。萌えアニメ作品で使用される声は,成熟した女性が少女を擬して発する声であり,少女の声が持つ声質が誇張されていることに特徴がある。本研究は,この特性によって,萌えアニメが陥る可能性がある不気味の谷が回避されると主張する。加えて本研究は,少女の日常を高い精度で描く萌えアニメ作品において現実世界ではまず使用されない言語表現が使用されていることを指摘する。その言語表現は,現実世界で使用された場合,その言語表現を発するキャラクターをマイノリティ(松谷(2012)の言う「不思議ちゃん」)として位置づけるものとして機能すると思われるが,萌えアニメ作品では,そのマイノリティが普通の少女として描きだされている。本研究は,この点に萌えアニメ作品の魔術的リアリズムを見出すことができることを指摘する。
著者
畠山 真一
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅大学研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
no.48, pp.101-111, 2016-03-31

本論文では,近年著しい発達を見せているVFX/CG(視覚効果・コンピュータ・グラフィックス)を利用して制作された実写映画とアニメーションを,作り手のコントロールという観点から分析する。さらに,本論文は,バルトの言う「鈍い意味」(物語に関与しない表象)についても考察する。「鈍い意味」とは,映画において意図せず撮影・投影され,かつ物語内容に貢献しないような表象である。バルトは,この表象の存在こそが,映画とその他の芸術とを差異化する要素であると主張した。本論文は,VGX/CGを利用することによって投影されるものを完全にコントロール可能な実写映画においても「鈍い意味」が残存していることと指摘する。
著者
畠山 真一
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.15-29, 2019 (Released:2019-09-07)
参考文献数
21

本研究は,萌えアニメ作品における「声」と「不気味の谷」の関係を分析し,萌えアニメ作品で実現されているリアリズムがどのようなものであるかを明らかにすることを目的としている。萌えアニメ作品で使用される声は,成熟した女性が少女を擬して発する声であり,少女の声が持つ声質が誇張されていることに特徴がある。本研究は,この特性によって,萌えアニメが陥る可能性がある不気味の谷が回避されると主張する。加えて本研究は,少女の日常を高い精度で描く萌えアニメ作品において現実世界ではまず使用されない言語表現が使用されていることを指摘する。その言語表現は,現実世界で使用された場合,その言語表現を発するキャラクターをマイノリティ(松谷(2012)の言う「不思議ちゃん」)として位置づけるものとして機能すると思われるが,萌えアニメ作品では,そのマイノリティが普通の少女として描きだされている。本研究は,この点に萌えアニメ作品の魔術的リアリズムを見出すことができることを指摘する。
著者
畠山 真一
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.15-30, 2018

本研究は, リアリティ水準と多レイヤー性という観点から, 現実世界と結びついているアニメーション作品を分析し, ロトスコープを使用する作品が持つ「不気味さ」が何に起因するかを明らかにすることを目的としている。Lamarre (2009) が述べるように, アニメーション作品は多数のレイヤーを重ね合わせて虚構世界を創りだすという特質 (多レイヤー性) を持っている。この特質によって, アニメーション作品はそれぞれのレイヤーにおいて異なったリアリティ水準を設定することが可能となっている。本研究では, 多レイヤー性とリアリティ水準という2つの理論的装置がアニメーション作品を分析する際に極めて大きな役割を果たすことを示す。
著者
畠山 真一
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅語文 (ISSN:21875952)
巻号頁・発行日
no.2, pp.A16-A22, 2013-03-15
著者
畠山 真一
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅学園研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:18816290)
巻号頁・発行日
no.6, pp.63-77, 2012-03-31

本論文は,スル形で発話時が指示可能であり,人称制限が観察される,「困る」,「照れる」,「イライラする」といった感情を表現する動詞(以後,感情表出動詞) を分析し,その局面構造と人称制限のメカニズムを明らかにすることを目的としている。分析の結果,(1)感情表出動詞は,感情出現,感情表出動作,感情状態の3の局面からなる局面構造を持つこと,(2)シテイル形に見られる人称制限解除が,感情表出動作によるものであり,証拠性の概念にうったえる必要はないこと,(3)スル形・シタ形に観察される人称制限は,それぞれの形が見せる一般的な使用制限から説明可能であること,の3点が明らかになった。
著者
畠山 真一
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.49, pp.29-42, 2017 (Released:2017-11-13)
参考文献数
19

本論文は,現代日本語の存在動詞イルの成立史とシテイル形式の文法化が緊密に関連していることを明らかにする。現代日本語のイルは,典型的な状態動詞の一つであるが,イルの語源を形成するヰルは,状態動詞ではなくむしろ起立状態から着座状態への態勢変化を意味する主体変化動詞であったと考えられており,イルは,主体変化動詞ヰルではなく,むしろヰルの主体変化結果状態を表現するヰタリから発達してきたと推定されている(金水,2006)。本論文で検討した歴史的なデータは,ヰタリから存在動詞イルへと至る意味変化とテイルの文法化が相互に関連していることを示している。すなわち,近世におけるアスペクト形式としてのシテイル形の確立には,存在動詞イルの成立が反映されていると考えられる。このような議論にもとづき,本論文は,シテイル形が,イルの意味的漂白化(semantic bleaching)に加え,テ形節とイルを述語とする主節からなる複文構造(biclausal structure)が単文化することによって確立すると主張する。
著者
畠山 真一 坂本 浩 加藤恒昭 伊藤 たかね
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.1, pp.1-8, 2005-01-11

語彙概念構造 (Lexical Conceptual Strucuture LCS) とは,言語学のフィールドにおいて,少数の意義素により動詞の持つ基本的な意味を捉えるために考案された意味表現のフォーマットである.LCS は言語学のみならず,自然言語処理の分野でもその応用が提案されている.しかし,どのようにして個々の動詞の持つLCS を推定するかという問題については,確固たる手法が確立されているわけではない.実際,現在までに提案されている LCS 推定に用いられるテストには,いくつかの問題が存在する.本稿では,対象変化動詞と接触・打撃動詞という他動詞の2つのカテゴリを区別する手法を提案する.In linguistics, Lexical Conceptual Structure (LCS), whichis constucted from some semantic primitives, is used to represent the meaning of a verb. In addition, LCS is used in Natural Language Processing as a representation format for the verb meaning. However, the problem of how to determine the LCS of a verb is still disputed. In fact, existing tests for determining the LCS of a verb have some shortcomings. In this paper, we pin down the problems with the existing tests for distinguishing a causative verb and a non-affecting verb, and propose a better test for it.