- 著者
-
神野 秀雄
- 出版者
- 愛知教育大学
- 雑誌
- 治療教育学研究 (ISSN:09104690)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, pp.1-10, 2008-02
ASD (自閉症スペクトラム障害) の人たちは, Low-functioning, High-functioning といった二分法で分類されることが多く, さらに細分化したサブグループが必要と思われる。本研究は, ウェクスラー式IQおよび治療教育的実践に基づく臨床像の視点から7つのサブグループ化を試みたものである。対象となった自閉性障害児は37名(男33名, 女4名) である。各事例の療育期間は2年余りより30年余まで広範囲にわたっているが, WISC系知能検査を実施した平均年齢は, 11歳7ヶ月(SD=2歳10ヶ月) であり, FIQの平均は82.8 (range=43~140) であった。対象事例のVIQとPIQのdiscrepancyの絶対値の平均は, 20.1 (SD=9.7) と有意な差があり, ASDはこの点に大きな特徴があることから, 対象児を動作性IQ優位群(VIQ<PIQ) 21名, 言語性IQ優位群(VIQ>PIQ) 16名の2つに大きく分類した。さらに一人一人のVIQとPIQの関連や臨床像の特徴より, 4つのPIQ優位群, 3つのVIQ優位群のサブグループを提案し, 因子分析のデータに基づきdiscrepancy の視点からサブグループ化について若干の考察した。