- 著者
-
道田 泰司
Michita Yasushi
- 出版者
- 琉球大学教育学部
- 雑誌
- 琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, pp.333-346, 2004-02
本稿では,批判的思考が良い思考であるのかどうかについて,意思決定と問題解決に焦点を当てて検討した。まず,すぐれた意思決定はきわめて批判的思考的であり,創造的な問題解決には,批判的思考的な技能が活かされていることが確認された。しかし,潜在的意思決定や暗黙の前提の存在を指摘することは,他者には受け入れられがたいことも多く,問題解決から離れる可能性のある,必ずしも良いとはいえないものであることが指摘された。これらは「解決・評価志向」と「探究志向」の批判的思考という枠組みで考察され,批判的思考の持つ「良さ」と「良くなさ」の2面性について論じられた。