著者
中畑 充弘
出版者
明治大学大学院
雑誌
政治学研究論集 (ISSN:13409158)
巻号頁・発行日
no.29, pp.269-296, 2008

本稿は、文化人類学上の'民族誌の記述'をめぐる問題点と並行して、これまで自身が執筆してきた「民族誌」に関して自省的検討をふまえ顧みながら、その留意点を整理するとともに、当課題に随伴する葛藤を克服することを念頭に今後の研究方法を模索する方法論的視座を試論的に提示するものである。1960年代までの民族誌は、構造主義的なモノグラフであり社会の諸要素の有機的連関を構造=機能的分析で示すことに重点を置き、調査地の「生活誌」を'ありのまま'に客観的に描く'科学性'を重視していたのに対し、サイードの『オリエンタリズム』やマーカス&フィッシャーの表象の危機(その背後に潜む代表(弁)性の問題)が唱えられた以降、ポストモダンの民族誌では従来の客観的記述とされてきた民族誌に潜む政治性、異文化を語る人類学者の特権的地位が痛烈に批判されてきた。

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