著者
杉内 真理恵 羽生 笑子 上田 修一 倉田 敬子 宮田 洋輔 小泉 公乃
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
Library and information science (ISSN:03734447)
巻号頁・発行日
no.66, pp.127-151, 2011

【目的】本論文の目的は, 学術論文の著者, 主題, 研究方法, 理論の使用を分析することにより, 1970年から2009年までの日本の図書館情報学の研究状況を明らかにすることである。【方法】対象とした雑誌は, 査読制度を採用しているLibrary and Information Scienceと『日本図書館情報学会誌』 (『図書館学会年報』) である。1970年から2009年の間の掲載論文のうち, 投稿論文826篇を調査対象とした。各論文に対して, ①著者, ②主題, ③研究方法, ④理論の使用の分析を行った。著者に関しては, 論文ごとの著者数, 第一著者の所属機関, 職業を集計した。主題は14に区分し, さらに図書館学と情報学にまとめた。研究方法は, 最初に6アプローチに分類した後, 実証的研究のみデータ集計方法とデータ分析方法を調査した。また, 年別の論文数やページ数の推移を集計した。【結果】日本の図書館情報学論文ではこの40年間に, (1)大学院生を含め大学に所属する著者の増加, (2)情報学は一時多かったが, 次第に減少傾向にあり, 図書館学が再び中心となっている, (3)実証的方法を採用する論文が増加している, などの傾向があった。しかし, 主題について大きな変化はなかった。全体の論文数は, 1990年代から2000年代後半にかけて低下したが, 現在は, 増加傾向にある。前者の原因は, 両誌の厳格な査読制度の採用にあり, 後者の原因は, 大学院生の増加や研究助成制度の充実にあると考えられる。原著論文

言及状況

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図書館情報学分野での査読自体が比較的歴史の浅いものである件 (+変遷期の発言録) が興味深い

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