著者
石田 聡 土原 健雄 吉本 周平 皆川 裕樹 増本 隆夫 今泉 眞之
出版者
農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所
雑誌
農村工学研究所技報 (ISSN:18823289)
巻号頁・発行日
no.210, pp.1-9, 2010-03
被引用文献数
1

淡水レンズは、島や半島において海水を含む帯水層の上部に、密度差によってレンズ状に浮いている淡水域を指し、カリブ海、太平洋、インド洋などの低平な島嶼や、我が国における沖縄県大東島や多良間島などの南西諸島などでは重要な水資源となっている。淡水レンズは降雨浸透水と海水の微妙な圧力バランスによって形成されていることから、降水量の変化、揚水量の変化、海水準の変化に対して、その賦存量が大きく影響を受け、水資源として脆弱である。一方で、我が国では沖縄県を対象として淡水レンズを水源として保全・開発する予定であること、アジア・太平洋諸国の経済成長によって島嶼地域においても水需要量の増加が予想されることなどから、淡水レンズ水資源への関心は国内外で高まりつつある。淡水レンズは井戸からの取水によって利用されるが、揚水に伴って井戸周辺の圧力が低下するため、揚水量が大きいと帯水層下部から塩水がくさび状に浸入し(アップコーニング)、やがて井戸水が塩水化する。帯水層が一度塩水化してしまうと、粒子間の微小間隙に塩水が残留すること、塩水浸入の水みちが形成されることなどから地下水環境は復元せず、当該帯水層からの淡水利用が不可能になる。この様な帯水層の塩水化は近年の生活様式の近代化・人口増などで揚水量が増加した島嶼で起こっており、地下水環境の保全と水資源の持続的利用を両立させることが重要な課題となっている。筆者らは沖縄県多良間島を対象として淡水レンズの賦存状況を調査するとともに、電磁探査法の琉球石灰岩帯水層への適用性について評価を行った。形状。

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