- 著者
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早瀬 善彦
- 出版者
- 京都大学大学院人間・環境学研究科
- 雑誌
- 人間・環境学 = Human and Environmental Studies (ISSN:09182829)
- 巻号頁・発行日
- no.21, pp.175-190, 2012-12-20
政治哲学者レオ・シュトラウスの提示した論点は数多いが, なかでも, もっとも重要なテーマの一つが披のレジームをめぐる議論である. シュトラウスによれば英語の「レジーム」という言葉の語源はギリシャ語の「ポリテイアJにあるが, このポリテイアとは, 本来いかなる法律よりも一層根本的なものであり, また社会に性格を与える秩序であると同時に, その形態でもあった. 小論の日的は, こうしたレジームという観念がもっ原理の重要性を考察することである. はじめにレジームと社会の関係から, 善き生き方とレジームの関係をみつつ, レジームの起源が人為的力にあることを明らかにする.次に, 善きレジームの形成の問題についてシュトラウスの『国家』解釈を通し明らかにしていく. そして, 最後に, 哲学者がレジームを越えていくという論点を提示し哲学と政治社会の関係はどうあるべきかという問題に一定の結論を提示する.