- 著者
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庵 功雄
宮部 真由美
- 出版者
- 一橋大学国際教育センター
- 雑誌
- 一橋大学国際教育センター紀要 (ISSN:21856745)
- 巻号頁・発行日
- no.4, pp.97-108, 2013
本稿では、漢語サ変動詞の使役形である「漢語+させる」の頻度を中納言を用いて調べた。その結果、基本語彙と考えられる能力試験1級までの二字漢語の大部分において、「させる」は「強制」や「許可・許容」の用法ではなく、「他動詞を作る」ために使われていることがわかった。また、定延(2000)で指摘されている「使役余剰」が実際の言語使用においてもかなり安定的に見られる現象であることもわかった。本稿の結果は、最近の日本語教育文法の主張を定量的に裏付けるものであるとともに、シラバス策定における、大規模コーパスの有用性を示すものでもある。