著者
東浦 勝浩 竹田 加寿子 大畑 浩美 小松崎 優子 兼則 美香 朝田 有子 柿本 利恵 若山 祥子 宮部 真由美
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.198-204, 2019-12-20 (Released:2019-12-27)
参考文献数
23
被引用文献数
1

目的:禁煙治療の評価は禁煙外来終了時の禁煙成功率だけではなく,長期間の禁煙継続をもって判断することが望ましい.しかしながら長期にわたる追跡調査は困難であり,日本人を対象として長期間追跡した報告は殆どない.そこで当院禁煙外来を受診した患者の動向を調査して,初期治療成績とその後の長期的な禁煙の実態について検討した.方法:当院禁煙外来にて禁煙治療を実施した124名を対象として平均35ヶ月間の観察研究を行った.結果:本検討での禁煙外来終了時の初期禁煙成功率は71.8%であった.初期禁煙成功者の長期禁煙継続率は1年,2年,3年後がそれぞれ,61.1%,54.0%,50.6%であり,男性では禁煙外来終了後半年の間にその41.1%が喫煙を再開していた.結論:禁煙外来で治療を受けた初期禁煙成功例の更なる禁煙維持のために,その後1年間,特に男性では半年間は新たなサポートが必要と考えられた.
著者
庵 功雄 宮部 真由美
出版者
一橋大学国際教育センター
雑誌
一橋大学国際教育センター紀要 (ISSN:21856745)
巻号頁・発行日
no.4, pp.97-108, 2013

本稿では、漢語サ変動詞の使役形である「漢語+させる」の頻度を中納言を用いて調べた。その結果、基本語彙と考えられる能力試験1級までの二字漢語の大部分において、「させる」は「強制」や「許可・許容」の用法ではなく、「他動詞を作る」ために使われていることがわかった。また、定延(2000)で指摘されている「使役余剰」が実際の言語使用においてもかなり安定的に見られる現象であることもわかった。本稿の結果は、最近の日本語教育文法の主張を定量的に裏付けるものであるとともに、シラバス策定における、大規模コーパスの有用性を示すものでもある。
著者
庵 功雄 イ ヨンスク 松下 達彦 豊田 哲也 宮部 真由美 早川 杏子 田中 牧郎 ビアルケ 千咲 志賀 玲子 志村 ゆかり
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

令和元年度は、日本の公立中学校でのフィールドワークを通した教材開発の成果として、外国につながる生徒のための日本語総合教科書(初級版、初中級版)を刊行し、その概要と具体的なアプローチについて、口頭発表を行った。JSL児童生徒のための漢字シラバス開発に資するべく、中学校教科書コーパスから漢字の音訓使用率を算出し、文理教科書における漢字情報の使用傾向の対照分析を行い、論文による成果報告を行った。また、非漢字圏のJSL児童生徒あるいは成人日本語学習者の効果的な漢字字形学習方法を探るために、彼/彼女らの漢字字形認知の様相を明らかにする目的で、漢字の構造と構成要素を軸に初見漢字の再認実験と漢字要素分解調査を行い、口頭発表によって報告を行った。ろう児に対する日本語教育の実践を続ける一方、日本語と日本手話の対照研究を続け、口頭発表で報告した。日本語学習教材の自動生成方法について検討し、言語処理分野の機械学習モデル「Word2Vec」を用いた類義語を用いて、日本語能力テストの多肢選択問題を構築する手法を検討する一方、学術共通語彙知識の発達やその読解力との関係についての横断的調査を行った。さらに、学習者の語彙力測定のためにWebブラウザから語彙情報を収集するフレームワークを提案し、学習者が登録した語彙から関連語彙を「Word2Vec」を用いて推定し、日本語学習教材の自動構築に役立てる仕組みを検討した。「やさしい日本語」の理念の拡張について考究するとともに、講演、新聞や雑誌への寄稿などを通して、「やさしい日本語」の理念の地域社会への普及に努めた。