- 著者
-
趙 熠瑋
- 出版者
- 北海道大学文学研究科
- 雑誌
- 北海道大学大学院文学研究科研究論集 (ISSN:13470132)
- 巻号頁・発行日
- no.14, pp.37-53, 2014
「中庸」は本來『禮記』の一篇であったが、南宋の朱熹が『禮記』から「中庸」、「大學」を抽出して、『論語』や『孟子』と竝べて「四書」と指定している。「四書」をめぐって、朱子學的な解釋を施したのは『四書章句集注』である。朱子の『四書章句集注』は宋代以降の四書注釋書の中で最も權威のあるものとされている。江戸儒學の古學派の代表的學者である伊藤仁齋と荻生徂徠にそれぞれ「四書」の注釋書がされている。古學派の仁齋と徂徠は基本的に經書本來の意味を追求する立場から注釋を施し、朱子學を批判しているが、「四書」のうちに、中庸」の解釋、特に「鬼神」に關する解釋にはかなりの相違が見える。本稿では、朱熹「中庸章句」、伊藤仁齋『中庸發揮』、荻生徂徠『中庸解』を比較しながら、古學派の「鬼神論」を中心として、それぞれの異同點を檢證した。