- 著者
-
三好 彰
- 出版者
- 東京大学大学院人文社会系研究科・文学部言語学研究室
- 雑誌
- 東京大学言語学論集 (ISSN:13458663)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, 2015-09-30
研究ノート Source Materials and Remarks嘉永3年(西暦1850)に編纂に着手したが中断してしまったのが英和辞書『エゲレス語辞書和解』である。中断の理由は一流の英語遣いだった編纂者が次々に起こる外国との交渉事への対応に追われて英和辞書の編纂に手が回らなくなったためと従来簡単に片づけられてきた。ところが見出し語の構成に統一性が見られないし、邦訳語の質がほぼ10年後に刊行された『英和対訳袖珍辞書』と比べて見劣りする。とりわけ言語関係の邦訳からは言語学の理解の低さが目立つ。開国前の嘉永年間では英和辞書を作るだけの英語力が身について居らず、それが『エゲレス語辞書和解』中断の理由と考える。The English-Japanese Dictionary titled "Egeresugo Jisho Wage" was started to be compiled in 1850, but it was not completed. Hitherto it has been believed that the compilers, who were excellent English Scholars in Japan, were too busy in dealing with foreign issue s to complete the dictionary