著者
鈴木 堅弘
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.13-51, 2008-09

本論は、春画として最も有名な北斎画の「蛸と海女」を取り上げ、この画図を中心に春画・艶本表現における図像分析を試みた。まず具体的な図像分析に先駆けて、同種のモチーフが「あぶな絵」や「浮世絵」にも描かれている背景を追うことで、近世期の絵画表現史における「蛸と海女」の画系譜を作成した。そしてその画系譜を踏まえて、北斎画を中心とした春画・艶本「蛸と海女」の図像表現のなかに、同時代の歌舞伎、浄瑠璃、戯作などに用いられた「世界」と「趣向」という表現構造を見出すことにより、春画・艶本分野においても同種の演出技法が用いられていたことを発見するに至った。また、こうした図像分析を通じて、北斎画を中心とした春画・艶本「蛸と海女」の表現構造が、太古より連綿と続く「海女の珠取物語」の伝承要素や、江戸時代の巷間に流布した奇談・怪談の要素で構成されていることを読み解いたといえよう。 なお、これらの考察により、春画・艶本の性表現のみに注視しない、新たな見方を提示することができたに違いない。

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@Fubuki_hell_ @NEBU_KURO 春画や芸術論文かも知れない。 https://t.co/ggI6BM6K5i
@kurage_ntr 今後の研究の参考になるか分かりませんが、蛸と女の絵の系譜がわかる論文のリンクを貼っておきます。PDFで読めますので、お暇な時にでもどうぞ。 海女にからみつく蛸の系譜と寓意--北斎画「蛸と海女」からみる春画表現の「世界」と「趣向」 https://t.co/y9sI9CmoAP
この論文、抜群に面白かった。海女と龍と珠をめぐる中世の寺社縁起譚が謡曲を経て広く受容され(「世界」)江戸時代のさまざまな芸能や豊かなイメージ(「趣向」)によって北斎の艶本まで至る過程を読み解く。「蛸と海女」は北斎の独創ではなかった。 https://t.co/CC9ETRwRqZ
石原発言を捻じ曲げる人が多すぎる。曲解せずに堂々と論破しなさい。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9B%B8%E3%81%A8%E6%B5%B7%E5%A5%B3 http://ci.nii.ac.jp/naid/40016300266

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