著者
崔 鉉鎭
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.213-252, 2016-01-15

本稿では,韓国語一型アクセントにおけるアクセント単位の認定と特質を明らかにするための第一歩として,一型アクセントとして報告されているチョンヤン(青陽)方言を対象に考察を行う。当方言は言い切り形と接続形の相違があり,言い切り形はA パターンとBパターンに分かれる。A パターンは5音節以下で見られる音調型であり,Bパターンは一文節において6音節以上である上で,複数のアクセント単位に分かれた際に最終アクセント単位以外のアクセント単位に見られる音調である。A パターンと相補分布を成している。当方言のアクセント単位は高い音調が1音節目あるいは1音節目と2音節目にある場合を1つのアクセント単位とし,高い音調が3音節目以降に現れるものは複数のアクセント単位からなるものと認定する。そうすることにより,当方言の一型アクセントが体系的に捉えられる。アクセント単位の認定に関わる要素には文節の長さと形態素の切れ目がある。この2つの要素の適用範囲と順序には相違が見られ,文節の長さは一次的に関わる要素として品詞や文節内部の構成と関係なく,文節の長さが6音節以上になれば必ず関与する。形態素の切れ目は文節の長さにより,アクセント単位が複数に分かれてはじめて関わるため,二次的要素といえ,アクセント単位の切れ目の位置に関わる。アクセント単位が複数に分かれた際に,最終アクセント単位以外のものはBパターンで現れる。A パターンとは相補分布を成しているため,A パターンの異形態と解釈できる。

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