著者
加美 嘉史
出版者
佛教大学社会福祉学部
雑誌
社会福祉学部論集 = Journal of the Faculty of Social Welfare (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
no.12, pp.27-50, 2016-03

本稿は戦前期の京都市に焦点をあて,「浮浪者」(ルンペン)対策の歴史的展開から戦前期日本の貧困の一側面を明らかにすることを目的としている。本稿では特に失業者の激増に伴って浮浪者問題が社会問題となった昭和初頭から日中戦争開戦前後を中心に京都市における浮浪者の実態とその対策について検討した。昭和恐慌期,失業問題が深刻化するなかで京都市では日雇労働者や浮浪者が増大した。市の浮浪者概況調査によると市内出身地はわずかで,その多くは若年失業者であった。失業問題の激化は日雇労働者などを浮浪化させ,市内流入を促進させていた。浮浪者の増加はその類型化に基づく対策の必要性を提起された。京都市では「準浮浪者」層に対する無料宿泊所が設置され,さらに「労働者更生訓練道場」での,精神的な訓練教化によって戦時体制へと移行する国家の人的資源提供の一端を担った。ルンペン救護法失業者準浮浪者惰民養成

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