- 著者
-
平野 隆之
奥田 佑子
- 出版者
- 日本福祉大学社会福祉学部
- 雑誌
- 日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
- 巻号頁・発行日
- no.134, pp.91-106, 2016-03
生活困窮者自立支援制度の「自由な運用」を推進する方法として,東近江市でのモデル事業の研究で明確となった「実施体制」と「体制整備」との相互関連性を,大津市と高島市のなかにも見出すという研究方法を用いて,かかる推進枠組みの有用性と運用面での活用方法を検討した.その結果,実施体制のなかでも入口の相談強化や出口のプログラム創出には,体制整備として,①庁内・庁外を問わず連携会議の場の創出に加え,その場のマネジメントが重要であること.また,通常の会議とは異なった場の設定も有用であり,②手引きの作成や地域福祉計画等の委員会が相当すること.国のマニュアルにある「資源の開発」は各自治体においてハードルが高いことから,民間組織が先行する取り組みを評価し制度運用に活用することが有効な方法であり,そのための体制整備としては,③資源の開発における公民協働の方式が有効である.実施体制とその体制整備の概念化は,運用上の指針として,また比較分析の枠組みとして有用である.