著者
泉 利明
出版者
千葉大学国際教養学部
雑誌
千葉大学国際教養学研究 = Journal of Liberal Arts and Sciences, Chiba University (ISSN:24326291)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.57-70, 2017-03

[要旨] 本論は、『人間喜劇』に登場する多くの聖職者について、バルザックの宗教思想および社会観と、小説内で聖職者が果たす役割の観点から、考察したものである。十九世紀前半のフランス社会において、フランス革命とそれに続く一連の出来事で、キリスト教をめぐる状況が大きく揺れ動いた。そこで結果として生じたのは、聖職者の多様性である。バルザックは、自己の宗教思想を主張するのではなく、多様な聖職者像を作品ごとに描き分ける。本論では、教会内の上下関係、聖職者と信者の結びつき、カトリック教会が提示する道徳の意味、信者の信仰のあり方などの問題を取り上げ、複数の小説における共通点を検討し、聖職者像や聖職者と信者の関係の多様性が、物語の多様性を生みだしていることを示した。

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