- 著者
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大上 真礼
寺田 悠希
- 出版者
- 田園調布学園大学
- 雑誌
- 田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-En Chofu University (ISSN:18828205)
- 巻号頁・発行日
- no.11, pp.169-188, 2016
近年,人口に膾炙している「女子力」という概念について,その下位概念を構成するものが従来の「男らしさ・女らしさ」と異なるかについて探ることを目的に先行研究を概観した。「女子力」に関する研究を概観した結果,女性は男性に比べて「女子力」のイメージとして外見に関する項目を選ぶ者が多いこと,雑誌記事が想定する女子力と大学生たちが実際に考える「女子力」にはギャップがあることなどが明らかになった。次に,「男らしさ・女らしさ」の測定語の変遷を性格・身体・行動に分けて概観した。変化していない測定語も多かったが,「やさしさ」が女らしさの測定語のみならず,男らしさの測定語としても出現し,逆に男らしさとされてきた「包容力」が女らしさの自由記述でも挙がるようになるなどの変化があった。また,行動面では消費行動とその性らしさを結びつける研究はほとんどなかった。「女子力」と女らしさの測定語を比較すると,「女子力」は比較的短期間の行動で獲得・維持できるといった側面が女らしさと異なることが明らかになった。また,性格や消費以外の行動面では直接的に役に立つものが「女子力」とされていることもうかがえた。以上の結果を踏まえて,「女子力」の高低がメンタルヘルスに与える影響などについて,その性らしさとは異なる角度から検証していく必要があることが示唆された。