著者
佐藤 宗子
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 = Bulletin of the Faculty of Education, Chiba University (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.444-436, 2018-03-01

[要約] 一九六〇年代に偕成社は、異なる趣旨のもと、二つの「日本文学」に関する少年少女向叢書を刊行した。一つは「一人一冊」スタイルの「作家」叢書の体裁を強めた「少年少女現代日本文学全集」であり、先行するあかね書房「少年少女日本文学選集」と対比しつつ既に論じたことがある。それに対し、一九六四年刊行開始の「ジュニア版 日本文学名作選」は、「全集」以上に途中での増刊を繰り返しつつ、七〇年代半ばに六〇巻で完結した。この叢書の構成を編年的に把握しながら、作品中心に題目設定がなされたことによりどのような特徴が生まれたか、「全集」との共通要素からは何が言えるか、体験を交えつつ享受の状況の対照をどのように考察しうるか、といった点の追究を行い、長編収録や特定の作家の浮上、新味を持つ作品群の選定など文学研究者の関与のもと「日本文学」の編成が進められた状況を明らかにした。今後は「世界の文学」との関係や同業他社の同種叢書との対照を行うことで、「日本文学」の体系化、規範化が少年少女向けにどのように進展したか、状況把握を進めることとしたい。

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佐藤 宗子 -  一九六〇年代における「日本文学」の編成 : 偕成社の少年少女向二叢書を中心に https://t.co/2yJxzgU1W6

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