- 著者
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金子 紀子
- 出版者
- 東京女子大学
- 雑誌
- 東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.2, pp.1-29, 2015-03
和泉式部は千五百首余りの歌を詠んでいるが、まだ研究の対象となっていない歌も多く存在する。和泉式部の歌の本質を知るためにはこれらの歌についても解明する必要がある。本稿では和泉式部の「あやめ草」(菖蒲)を詠込んでいる歌を取り上げ、分析を試みた。そして五月五日の節供の「あやめ草」というありふれた歌材を用いても、和泉式部が独特の感性と言語感覚でその折をとらえ、心情を表現をしていることを明らかにする。