著者
黒川 修司
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.79-109, 2015-03

カストロによる政権奪取時から米国が継続している対キューバ経済制裁を、外交政策と政策決定の視点から分析した。そもそも民族主義的な連合政権として発足したカストロ政権に対して、米国民と企業の資産を国有化し米国に損害を与えたとして、砂糖の輸入を停止したアイゼンハワー政権の判断が、52年にも亘る経済制裁の発端であった。この経済制裁によりカストロ政権を米国は経済的に追い込み政策転換を迫ったが、ソ連が砂糖の輸入を肩代わりしたことにより、損害は限定的になり、キューバをソ連に近づける結果となった。制裁を開始し、強化したアイゼンハワー、ケネディ政権の政策を吟味した。歴代政権の対キューバ制裁は簡潔に述べ、冷戦構造が崩壊した後の1992年法と1996年法の内容とその効果を詳細に分析し、米国の経済制裁が効果を出し始めたのは1991年のソ連の崩壊からであったと結論した。オバマ政権は未だに対キューバ経済制裁をどうするか決めかねているように見える。経済制裁は実行するよりも、中止する方が遥かに困難である。

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こんな論文どうですか? 長い経済制裁 : 米国の対キューバ経済制裁は効果があったのか?(黒川 修司),2015 https://t.co/ENPl43K8ki カストロによる政権奪取時から米国が継続している対キューバ経済制裁を、外交政策と政策決定の…

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