著者
桒原 彩
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
北海道大学大学院文学研究科研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
no.18, pp.125-139, 2018

2014年全米公開のティム・バートン監督作品通算19作目にあたる『ビッグ・アイズ』は,実際に起ったゴーストペインター事件を基にした物語である。ゴーストペインターである妻(マーガレット)の表象は,実際のところその夫(ウォルター)と対となって,バートン作品の大きな主題である「疎外」をかつてなく形式的に分断された2つの方向から描き出している。本稿は『ビッグ・アイズ』における疎外を二者の立場それぞれに分析し,物語や演出の詳細な作品分析を踏まえ,まなざし論を経由し,ティム・バートンの作家性を「疎外」とそこから希求される「身体」というキーワードをもちいて考察していく。これまでティム・バートンの作家性は社会におけるアウトサイダー的表象のなかにその多くが見出されており,本稿もその流れを汲むものであるのは言を俟たない。しかし,まなざしを改めて映画の装置として分析に組み込むとき,それは社会と個,表象と身体を結ぶ媒介として,バートンの主題である「疎外」をより明確に浮き彫りにしていく。 本稿において,二者の疎外の分析を通じて見いだされるのは身体と表象の対立である。ゴーストペインターであるマーガレットが自身の表象/記号を社会的に奪われた身体だけの存在としてあるのに対し,ウォルターは身体をほとんどなきものとしてイメージの表面を漂う分裂的な表象/記号そのものである。しかしそれらの疎外は,BIG EYESがまなざしのアレゴリーとして働くとき,そのまなざしを原動力として,いずれも異なったかたちで身体を求めることとなる。

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