著者
武島 良成
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.227-257, 1996-03

本論は、日本占領下のビルマにつくられた東亜青年連盟(アシャルーゲー) の検討を通じ、東南アジア占領の意義付けに提言をなそうとするものである。今回はその組織を中心に論ずるが、まず、アシャルーゲーが一元化された命令系統を持ち、制度化の進んだ、五〜六万人の人気ある大組織となったことを、その成長過程と共に分析する。さらに同組織が、戦後はパサパラの最有力組織の一つとなり、その対英闘争を支えたことを指摘する。アウンサンらビルマ側民族運動のリーダーが認めるように、戦前のタキン党らの大衆組織化が、彼らを苛立たせるほどに困難のものであったとすれば、このように統制力のある大組織が登場した意義は大きく、その意味で民族運動の高次化が起ったといえる。

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