著者
平居 謙
出版者
平安女学院大学
雑誌
平安女学院大学研究年報 = Heian Jogakuin University Journal (ISSN:1346227X)
巻号頁・発行日
no.19, pp.75-84, 2019-03

梶山千鶴子の師事したのは芥川賞作家・多田裕計であった。その多田裕計は、若いころから作家・横光利一に師事。洒脱で明るい「モダン俳句」の要素が横光利一から多田裕計を経由して梶山に伝えられた。横光利一の「モダン俳句」は情感を意識的にシャットアウトした形で制作されている。多田裕計の「モダン俳句」も同様である。多田は一方で「社会性俳句」の中において多くの人の「共感」を得られやすい社会的題材を詠う。多田の中では異なる方向のものとして「モダン俳句」と「社会性俳句」は存在していた。梶山千鶴子は、これらの2 つを彼女の中で昇華し、独自の形でバランスよく融合させた。この点が彼女の俳句創作上における最も偉大な業績である。筆者にとって最後の梶山千鶴子研究として本稿を書いた。

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平居 謙 -  梶山千鶴子論 -- 横光利一・多田裕計を視座として-- 芸術観光学の理論と実践⑪ https://t.co/1rJRx9HT3A

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