著者
平居 謙
出版者
平安女学院大学
雑誌
保育研究 (ISSN:03866246)
巻号頁・発行日
no.42, pp.13-22, 2014-03

漫画『ONE PIECE』には、旧約聖書の影響が強く感じられる。主人公ルフィとナミの2人が目的の地ラフテルに向かう構造は、ルツ(ルフィの別読み)とナオミ(ナミの一文字増し)が安息の地エフラテに至る物語の換骨奪胎であり、伝説の海賊王ゴールド・ロジャーは、バプテスマのヨハネのパロディに他ならない。『ONE PIECE』に登場する能力者「墓場のアブサロム」の原型を旧約聖書『サムエル記 II』に見出すことも可能である。また、聖書が強くアピールする自己犠牲の主題は、『ONE PIECE』を貫く中心思想でもあり、主人公ルフィやその兄エースにも、イエスキリストの影が強く投影されている。聖書という原点を知ることで、読者は今世紀の稀有な冒険物語を幾重にも享受する手掛かりを得る。
著者
商 鍾嵐
出版者
平安女学院大学
雑誌
平安女学院大学研究年報 = Heian Jogakuin University Journal (ISSN:1346227X)
巻号頁・発行日
no.17, pp.101-109, 2017-03-31

This article has studied the historical development of both Ninnan Dialect and Japanese. Based on the analysis in their pronunciation and vocabulary, similarities between Ninnan Dialect and Japanesehave been found. They both have some similar pronunciation, which proved to belong to the features of ancient Chinese. Moreover, they have borrowed the spelling from each other on the lexical level.
著者
曲 志強
出版者
平安女学院大学
雑誌
平安女学院大学研究年報 (ISSN:1346227X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.55-63, 2016-03-01

Since the entry of Japanese anime and manga into China in the 1980s, it has gained increasing influence as well as stable popularity in the Chinese mass culture, affecting generations of Chinese intheir cultural conception and even in their views on the world and life. Now, 35 years later, how does Japanese anime and manga, which continues to shine through all sorts of modern media, weigh among the Chinese? How is it understood and evaluated by the Chinese? The exploration of these questions is significant both theoretically and practically, in terms of both cultural and intercultural communication.Instead of adopting traditional questionnaire survey, this paper allows the subjects ample time forthoughts and expression, so that they could summarize systematically their understanding and evaluation of Japanese amine and manga. Based on a detailed analysis and summary of the survey results, this paper proposes its own ideas about how Chinese college students understand and evaluate Japanese anime and manga and how multiculturalism should be dealt with.
著者
王 嵐 危 龍華
出版者
平安女学院大学
雑誌
平安女学院大学研究年報 = Heian Jogakuin University Journal (ISSN:1346227X)
巻号頁・発行日
no.19, pp.65-74, 2019-03

昔から、松は日本人の生活や文化に大きい影響を与えてきた。文学、哲学、庭園のデザイン、芸術だけでなく、飲食習慣、人の生き方にまで松文化の烙印を残した。松を崇拝することは、大体三種類に分けられる。すなわち、松全体、松葉、松明に対する崇拝である。その原因には、松は伸びやかで、風雪にも耐える。その性格は日本人の自然観に合うと言え、いろいろな神話伝説も松をより一層神格化した。中国からの影響も無視できない原因の一つと思われる。そこには主に中国伝統文化の伝来と、中日両国の風俗における類似性が含まれているのである。本稿は日本祭祀の側面から、松が日本人の生活や文化に大きな役割を果たしてきたことを論じ、その原因を考察する。
著者
金本 伊津子
出版者
平安女学院大学
雑誌
平安女学院大学研究年報 (ISSN:1346227X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.47-54, 2002-03-10

This paper shows how female mediums such as itako and kamisama are taking a leading part in two religious practices, which have mainly spread through the Tsugaru and Shimokita regions of Aomori Prefecture. In hotoke-oroshi, the female mediums mediate the narratives of the dead and persuade local people of a shamanistic reality; for instance, the dead can interactively communicate with the living through the female mediums, often provide great influence on the lives of the living, and the dead get older year by year along with the living. As Japanese tradition shows in shinda ko no toshi wo kazoeru (counting the age of dead children), even fetuses, infants, and youths who die at an early age can often be kept growing, with the ability to attain marriageable age. Because the dead grow old in the minds of the living as the same pace as the living, it is no wonder the shamanistic messages sometimes convey the dead's strong psychological attachment to unfulfilled achievements in life, most of which are related to happy occasions in rites of passage, especially weddings. These shamanistic realities mediated by the narratives of the dead connect with local Buddhism to create another cultural device for the communication between the dead and the living-weddings of the dead. It is notable that Buddhist ritual in these religious events accepts the involvement of spiritual mediums such as itako and kamisama. Here we see a typical appositional synchronism of Japanese culture in the two different religious practices for the repose of the dead and the fulfillment of their lives in the world of the living. All ethnographic data were collected during fieldwork intermittently conducted by the author between 1991 and 2001.
著者
カパッソ カロリーナ
出版者
平安女学院大学
雑誌
平安女学院大学研究年報 = Heian Jogakuin University Journal (ISSN:1346227X)
巻号頁・発行日
no.19, pp.41-53, 2019-03

12 世紀以降、西ローマ帝国の輝かしい時代が終焉してから初めて、イタリア半島は世界の文化的推進の役割を再び担うようになった。分断された小国乱立という政治状況に加えて、度重なる戦争や外敵の侵入に脅かされてはいたが、イタリア北部及び中部の都市国家、そして南部のナポリ王国は、生産と交易と社会システムの面において、飛躍的な成長を遂げた。こうした急激な変化の影響は、そのすぐ後にルネサンスと呼ばれることになる文化や芸術においてのみならず、より日常的な生活の実践に関わる分野にも及んだ。その代表的な例が料理であろう。今日、ヨーロッパで美味しいとして知られるのは、イタリア、フランス、スペインなどの料理だが、そのうちイタリアの料理は他国の料理よりもはるかに起原が古く、長い伝統を持つ。では、そのイタリア料理はいつ頃生まれたのだろうか。本論考は、イタリア半島でつくられた最初期の料理-- それが後にいわゆる「イタリア料理」を生むことになる-- について考察し、その起源と普及の状況を究明することによって、料理をめぐる当時のイタリア人の意識の変化を明らかにする。また、いくつかのレシピやそこで使用されている素材を分析し、イタリアの政治的統一よりも何世紀も前から「イタリア料理」が存在し、それがイタリア半島にすでに文化的なアイデンティティを与えていたことを明らかにしようとするものである。
著者
金本 伊津子
出版者
平安女学院大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

平成15年度は、平成13年-14年度にブラジルで行ったフィールドワークの研究成果の口頭発表を以下の二つの学会にて行った。1.2003年7月(5日〜12日)、イタリア(フィレンッエ)で行われたXV International Congress of Anthropological and Ethnological Scienceの国際会議で研究発表を行う。発表論文のタイトルは、"Those Abandoned Twice-Aging and Ethnicity of Japanese Elderly in Brazil"である。この発表においては、ブラジルの日系老人の老いが、きわめて日本・日本文化との緊密な係わり合い(例えば、日本の年金の受給の有無や家族の日本への出稼ぎ、あるいは、言語や文化的活動など)の中で展開されている社会的・文化的状況についての報告を行った。2.2003年9月23日、東京(中央大学)で行われた第一回日本オーラル・ヒストリー学会設立大会における交流分科会「移民とエスニック・ストーリー」のパネリストとして研究発表を行う。発表論文のタイトルは、「オーラル・ヒストリーにみる日系ブラジル人の老い」である。この発表においては、移民の歴史資料としてのオーラル・ヒストリーの重要性を再確認するとともに、データの収集ならびに保存などの方法論を中心に議論を展開した。また、国際協力事業団の業務委託を受けたサンパウロ日伯援護協会が2003年1月から9月にかけて行われた「ブラジル日系社会高齢者実態調査(要介護者老人実態調査)」の専門家チームに加わり調査協力するとともに、報告書(日系社会高齢者実態調査委員会編「ブラジル日系社会高齢者実態調査(要介護者老人実態調査)」サンパウロ日伯援護協会発行2003年))の執筆・監修を行った。
著者
平安女学院短期大学食品クラブ
出版者
平安女学院大学
雑誌
学報
巻号頁・発行日
vol.6, pp.192-203, 1970-01-01
著者
高橋 隆
出版者
平安女学院大学
雑誌
平安女学院短期大学紀要 (ISSN:02870878)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.17-32, 1988
著者
岩渕 善美 金子 眞理
出版者
平安女学院大学
雑誌
保育研究 (ISSN:03866246)
巻号頁・発行日
no.42, pp.54-61, 2014-03

本研究では、幼稚園教育実習における学びについて、学生の自己評価の内容を分析することにより、今後の幼稚園教育実習指導の教育課題を検討することを目的として、保育者養成校の大学短期大学部学生の幼稚園教育実習における自己評価をテキストマイニング手法により分析を行った。計量テキスト分析により、幼稚園教育実習中の学生の様子がわかり、学生の評価すべき事項、今後の課題となる事項など明らかにすることができた。クラスター分析の結果、「指導計画」、「子どもとのかかわり」、「幼稚園教育実習に対する取り組む姿勢」などの特徴が析出され、7つのクラスターに分類することができた。
著者
岩渕 善美 金子 眞理
出版者
平安女学院大学
雑誌
保育研究 (ISSN:03866246)
巻号頁・発行日
no.42, pp.54-61, 2014-03

本研究では、幼稚園教育実習における学びについて、学生の自己評価の内容を分析することにより、今後の幼稚園教育実習指導の教育課題を検討することを目的として、保育者養成校の大学短期大学部学生の幼稚園教育実習における自己評価をテキストマイニング手法により分析を行った。計量テキスト分析により、幼稚園教育実習中の学生の様子がわかり、学生の評価すべき事項、今後の課題となる事項など明らかにすることができた。クラスター分析の結果、「指導計画」、「子どもとのかかわり」、「幼稚園教育実習に対する取り組む姿勢」などの特徴が析出され、7つのクラスターに分類することができた。
著者
室崎 生子 小伊藤 亜希子 中島 明子 上野 勝代 吉村 恵 松尾 光洋
出版者
平安女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

建築・都市計画分野における女性の専門職比率、昇格実態などを把握するために、14年度に都道府県を対象に、15年度には、東京23区を対象に、アンケート調査を実施し、社会進出状況と昇格における男女差の実態を把握した。建築・都市計画分野における女性の専門職の採用は近年、増加の傾向にあることは把握できたが、建築・都市計画分野における女子学生の増加率に比べれば、その増加を反映したものとはなっていないといえる。また、昇格に対しては男女差別が存在しており、等しく昇格試験が受けられる自治体と不明瞭なところとがある。大学における教員比率についても、女子学生の増加に対応したものとなっていないこともわかっており、採用や昇格における改善はエンパワメント政策上の課題であることが確認できた。また、国外比較事例として、1年度は韓国、2年度はイギリス、フィンランドを対象とし、ジェンダーエンパワメントの実態を調査した。いずれの国でも建築・都市計画分野において女性が増加してきており、先進的に活躍する女性たちが存在することが感じられたが、いずれの国においてもジェンダーによる影響が皆無ということはなく、引き続き国際的にも課題であることも確認できた。女性政策や社会の発展からすると後発とも言える韓国は、民主化政策の中で急速に女性政策が進展した国である。韓国調査からは、有効な政策を打つことで、エンパワメントがはかれることが示唆された。ジェンダーエンパワメントが高いフィンランドでは、福祉制度や女性政策が進んでおり、働く環境がととのっていることが、初期から中期のポストでの差がない状態を生んでいることが理解できた。また、養成課程での女性比率が社会進出に反映するなどエンパワメントの実態を目の当たりにすることができた。イギリスにおいては、女子学生の増加に見合った女性建築職の進出の場や活躍の場が少ないなど日本の状況とにており、社会的に活躍できにくい状況の解明調査に取り組んでいるところであった。民間企業に勤める建築専門職の実態調査等が、今後の課題としてのこった。労働政策、福祉政策、女性政策等の連携なしに建築専門職分野のエンパワメントもありえず、総合的視野からの改善ときめ細かなところからの支援改善を連携する提言をしていくことが課題である。
著者
高橋 義人
出版者
平安女学院大学
雑誌
平安女学院大学研究年報 = Heian Jogakuin University Journal (ISSN:1346227X)
巻号頁・発行日
no.19, pp.1-10, 2019-03

建国以来の歴史が浅く「新しい国」であったアメリカには、20 世紀に入ってからも「アメリカ音楽文化」と呼べるようなものがまだわずかしか存在していなかった。アメリカを政治的にのみならず文化的にも「大国」にするために、アメリカ独自の音楽文化を育てることは喫緊の課題だった。その契機のひとつをなしたのが、レハールのオペレッタ『メリー・ウィドウ』のアメリカ上演(1906 年)だった。その爆発的人気をもとに、1934 年、『メリー・ウィドウ』はエルンスト・ルビッチ監督によって映画化され、オペレッタのアメリカ化が行われた。本稿は、18 世紀前半のイタリアにおけるオペラ・ブッファから、19 世紀後半~20 世紀初頭のヴィーンにおけるオペレッタを経て、20 世紀半ばに与えられたアメリカでミュージカルが誕生するまでの喜歌劇の歴史をたどりつつ、アメリカン・ミュージカルに与えられた課題を探る。