著者
小松 秀雄 Hideo KOMATSU
雑誌
神戸女学院大学論集 = KOBE COLLEGE STUDIES
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.1-16, 2019-12-20

高知県(昔の土佐の国)では大きな芝居絵屏風を飾る夏祭りが行われ、土佐の夏の風物詩として地域の人びとに親しまれていた。芝居絵屏風は大きな(180 cm×180 cm)二曲一隻の屏風であり、弘瀬金藏(1812-1876)、通称、絵金が芝居絵屏風を描き始めた。江戸時代後期から明治時代まで土佐の国では、農村舞台で歌舞伎や人形浄瑠璃などの地芝居が上演された。人びとは芝居絵屏風を絵金に描いてもらい、夏祭りの機会に神社やお堂に奉納した。しかしながら、日本の近代化の過程で映画が普及し、娯楽が多様化するにともない、夏祭りに芝居絵屏風を飾ることも少なくなった。絵金の死から約90年後、1960年代における対抗文化の時代背景の下で絵金と彼の芝居絵屏風などの作品が再び注目されるようになった。絵金の画集などの本が出版されたり、絵金の映画が全国の映画館で上映されたり、東京、大阪、京都、神戸の有名な百貨店で絵金展が開催された。新聞や雑誌などのマスメディアによって名づけられた「絵金ブーム」が到来した。本論文では、歴史社会学的視点から、「絵金ブーム」に関する多様な資料を分析し論述してみる。

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