著者
津上 智実 Motomi TSUGAMI
出版者
神戸女学院大学研究所
雑誌
神戸女学院大学論集 = Kobe College studies (ISSN:03891658)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.95-111, 2019-12

本論は、『漢珍日日新報データベース』によって『台湾日日新報』を調査し、永井郁子(1893~1983)の台湾楽旅の実態を解明することを目的とする。調査の結果、記事81点が見出されること、そこから永井の台湾楽旅は第一回(1928)、第二回(1930)、第三回(1933)、第四回(1936)および第五回(1937)の5度に及ぶこと、永井の台湾行きは詐欺事件に端を発していること、これらの記事から第一回6件、第二回4件、第三回22件、第四回1件、第五回2件、合計35件の独唱会の存在が知られること、とはいえ、それらは実際に永井が行なった演奏会のせいぜい半数程度しか報道していないこと、内6つの演奏会については演奏曲目の詳細が明らかになり、他の3つについてはプログラム構成の大枠が知られること、第三回については当時の拓務相永井柳太郎の勧めで渡台し、多数の小学校・公学校・高等女学校・師範学校で独唱会を行なって、永井柳太郎作詞、宮良長包作曲の〈新日本建設の歌〉を歌い、かつ児童生徒に歌わせたこと、永井の渡台を組織したのは台湾総督府の官僚を中心とする永井郁子女史後援会であったことが明らかになった。

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