- 著者
-
竹田 恵子
Takeda Keiko
- 出版者
- 大阪大学大学院人間科学研究科 社会学・人間学・人類学研究室
- 雑誌
- 年報人間科学 (ISSN:02865149)
- 巻号頁・発行日
- no.41, pp.19-35, 2020-03-31
社会学 : 論文障害に関する医学的観点は、障害者の家族形成を妨げる原因の一つを提供してきたとされる。しかし、障害に関する医学的観点は既成概念的に扱われる傾向にあり、その内容は実証的に解明されているとは言いがたい。本稿では、計量テキスト分析によって障害と生殖に関する医学的観点の特徴を解明した。障害と家族形成の両方を扱う保健医療関連分野の日本語論文を用いたクラスター分析の結果、論文の背景部分では11の主題(障害者福祉の歴史的変遷・支援効果の検討・妊娠の心理的衝撃・家族形成の困難の克服・周産期に生じる医学的課題・在宅療養・生活面での医療的支援・保育事業・児童虐待・長期的な健康障害の影響・ストレスの研究)、考察部分では9の主題(脊髄損傷者の家族形成・障害者の自律性の尊重・保育支援体制の整備・家族形成と人生の意味・障害者の家族形成に関連する要因・障害の受容過程・気持ちにより添う・在宅療養制度の問題・教育機関との連携)が抽出された。医学的観点は障害を克服した健全な家族形成を理想とするが、十分な支援が実現できないことへ苦悩し、自らを障害者と重ねて共に歩もうとする面もあった。