著者
宮崎 市定
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.81-104, 1963-01

孔子は天の存在を認めたが、それは不可知な神秘的存在であり、従って天の命も亦、人間からは窺知するを得ない、理知以外の存在であった。彼のいう仁は人の道であり、不可知な天命によって人事の結果がいかに左右されようとも、それによって信念を動揺させてはならないと教えた。これが 「知命」 の意味である。然るに墨子は天を正義の神とし、政治革命の如き大きな政治的変動も、天が主権者の行為の善悪に対して加える賞罰の結果だと説明した。併し実際にはこのような賞罰は必ずしも世上に実行されていない。次に現われた孟子は、政治革命は天の命によって起るが、それは人心の帰趨に従って起るとし、天命と歴史現象とを不可分なものと説明した。そして仁義を行うのは、外部にある利を得んがためではなく、天が人の心に生みつけた性の善なるに従うためであるとした。孔子から孟子への思想的発展は、中間に墨子の存在を考慮しなければ、正しい理解に到達できない。

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CiNii 論文 -  中国古代における天と命と天命の思想--孔子から孟子に至る革命思想の発展 えっこれ今度読む https://t.co/BymLoGjguA

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