- 著者
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篠田 道子
- 出版者
- 日本福祉大学社会福祉学部
- 雑誌
- 日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
- 巻号頁・発行日
- no.142, pp.99-112, 2020-03-31
フランスとイタリアの医療・介護制度は異なっているものの,終末期ケアについては国主導のインフラ整備により,量・質ともに大きく進んだ.本人の意思決定を支えるために,後見人や事前指示書を位置付け,多職種で支える体制を整えている.本論文では,フランスとイタリアの終末期ケアに関する基本法を概説し,事前指示書による意思決定支援の取り組みと課題を整理する. 特に事前指示書については,わが国でも取り組んでいるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)に引き付けながら光と影について論じる.また,両国ともネットワーク形成を推奨するなど,終末期ケアを点で支えるのではなく,制度や場所を越えて多職種・他機関で支える仕組みづくりに舵を切っている.このような取り組みは地域包括ケアシステムを構築するうえで参考になる.