- 著者
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北川 勝彦
- 出版者
- 關西大学經済學會
- 雑誌
- 關西大學經済論集 (ISSN:04497554)
- 巻号頁・発行日
- vol.70, no.1, pp.309-358, 2020-09-20
本研究の目的は、アフリカニスト史家によるアフリカ経済史研究の「アフリカ化」と経済史研究におけるアフリカ経済史研究の「主流化」の可能性を探求しようと試みるところにある。具体的には、1960年代以降、世界のアフリカ史研究を牽引してきたテレンス・レンジャーの問題提起 : アフリカ史はどれほど「アフリカ化」し、歴史研究の「主流」となってきたのか に準拠しつつ、とりわけ20世紀後半から現在に至るUNESCOを中心としたアフリカ史の「アフリカ化」およびグローバル・ヒストリーにおけるアフリカ史の「主流化」の試みを検討し、さらに21世紀初頭に現れたアフリカ経済史研究の新展開をめぐる諸問題の考察を通して本研究の目的を追求した。以上の考察に基づいて、アフリカニストによるアフリカ史の記述とアフリカ経済の史的分析に当たっては、「アフラシア学」の先駆者アリ・マズルイが提起した4つの歴史的洞察の視点 : indigenization, domestication, diversification, horizontal interpenetration の重要性が認識されるにいたった。