著者
板垣 竜太 Ryuta Itagaki
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Social science review (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.134, pp.141-177, 2020-09

本資料は,京都大学が保管する琉球民族遺骨の返還を求める集団訴訟で,京都地裁に提出した意見書である。本意見書は,まず人骨研究を中心とする近代人類学の系譜を整理したうえで,京都大国大学の人類学者が統計学的な手法を駆使しながら集団的に人骨研究を進めたことを明らかにした。そのうえで京都帝大の人類学者による琉球遺骨の収集には,解剖学教室の金関丈夫によるもの(1929年)と病理学教室(清野謙次人類学研究室)の三宅宗悦によるもの(1933年)の2系統があり,前者は台北帝国大学に移管され,後者が京都帝大に残されたことを論証した。最後に,人骨収集の態度において,本州・四国・九州における慎重さと,南島における手軽さが対照的であったことを示し,植民地状況においては「純粋」な科学的研究に対する法的・倫理的な歯止めが働かなくなったという意味で,それを「植民地主義的ダブルスタンダード」と呼んだ。資料(Material)

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琉球民族遺骨返還訴訟への意見書 https://t.co/isybnrhxiS

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