- 著者
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中村 裕子
- 出版者
- 札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
- 雑誌
- 札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities (ISSN:09163166)
- 巻号頁・発行日
- no.108, pp.65-81, 2020-11-20
本研究は,ソーシャルワーカーの感情規則が養成課程においてどのように教育されているのか,その特徴を明らかにすることを目的とした。社会福祉士及び精神保健福祉士の養成課程で使用されているテキストから,感情規則に関する記述を抽出し,KJ法の手順を参考に質的分析を行った。結果,クライエントの感情を受容し,共感するという感情規則に従って感情管理が行われ,クライエントへの態度や介入の基底となっていた。共感は,感情移入や他者視点の想像によって他者感情の理解が行われると想定されていた。クライエントとの援助関係は,情動的相互作用とされ,感情的な関係性が築かれるとされていたが,自己の感情は時にクライエントとの関係を阻害するものになることも示されていた。一方で,このような感情規則は現実的ではないことが推測され,教育内容を見直す必要性が示唆された。論文