著者
中村 裕子
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.108, pp.65-81, 2020-11-20

本研究は,ソーシャルワーカーの感情規則が養成課程においてどのように教育されているのか,その特徴を明らかにすることを目的とした。社会福祉士及び精神保健福祉士の養成課程で使用されているテキストから,感情規則に関する記述を抽出し,KJ法の手順を参考に質的分析を行った。結果,クライエントの感情を受容し,共感するという感情規則に従って感情管理が行われ,クライエントへの態度や介入の基底となっていた。共感は,感情移入や他者視点の想像によって他者感情の理解が行われると想定されていた。クライエントとの援助関係は,情動的相互作用とされ,感情的な関係性が築かれるとされていたが,自己の感情は時にクライエントとの関係を阻害するものになることも示されていた。一方で,このような感情規則は現実的ではないことが推測され,教育内容を見直す必要性が示唆された。論文
著者
中村 裕子 橋本 研 小此木 雄 牛込 瑛子 橋島 弓子 高橋 哲哉 小林 健二 小谷 依子 鈴木 玲爾 坂上 宏 申 基哲
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.331-340, 2011-10-31 (Released:2018-03-23)
参考文献数
27

本研究の目的は,次亜塩素酸電解機能水(Hypochlorous-acid Electrolyzed Water: HEW)による宿主細胞への傷害性と,アルカリホスファターゼ(ALP)活性に与える影響を検討することである.HEWは,炭酸と塩化ナトリウム(NaCl)溶液を電気分解することによって生成される中性(pH7.2)で有効塩素濃度650ppmを有する電解水である.その殺菌効果は,陰イオンの活性酸素とHClOによるものと考えられている.HEWとNaOCl溶液のヒト歯髄線維芽細胞(HPC),ヒト歯根膜線維芽細胞(HPDL),ヒト末梢血好中球(PMN)およびヒト皮膚線維芽細胞三次元培養モデルに対する傷害性について,MTT assayを用いて検討した.HPC, HPDLおよびPMNを細胞培養用シャーレにて培養し,各濃度に調整したHEW, NaOCl溶液で処理した.HEWとNaOCl溶液は,濃度と作用時間に依存して細胞傷害性を示した.HEWの細胞傷害性はNaOCl溶液よりも低かった.次にHEWおよびNaOCl溶液のHPCのALP活性へ与える影響を,ALP assay kitを用いて検討した.HEWおよびNaOCl処理は,いずれも,HPC細胞のALP活性を低下したが,HEWのほうがはるかに軽微であった.三次元培養モデルにおいては,HEWの細胞傷害性はほとんど観察されず,NaOCl溶液のみが傷害性を示した.本研究は,HEWによる細胞傷害性は,NaOClよりも低く,根管洗浄剤として使用できる可能性を示唆する.
著者
中村 裕子 杉山 僚 小此木 雄 関根 慧 牛込 瑛子 高橋 慶壮 小谷 依子 中村 幸生
出版者
一般社団法人 日本歯内療法学会
雑誌
日本歯内療法学会雑誌 (ISSN:13478672)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.29-35, 2010 (Released:2017-11-30)
参考文献数
35

Abstract : The aim of this study was to investigate the antimicrobial effects of electrolyzed neutral water (Perfect Perio®) (PPW) on Enterococcus faecalis formed biofilm. This PPW contained hypochlorous acid concentrations at 600-700 ppm in pH 7.5. The effects of PPW were compared with those of NaClO and sterilized water (DW). Biofilms of E. faecalis were induced on tissue-culture plates. An overnight culture of E. faecalis grown in brain-heart-infusion broth was seeded (initial concentration of 107-8 cells/mL) with trypticase soy broth (with 0.25% glucose), which was incubated under aerobic conditions for 48h to allow biofilm formation. After incubation, the biofilms were irrigated with PBS and treated as irrigants. The remaining biofilms were stained with crystal violet to gratify the amounts of biofilm, which were determined using a microplate reader. Morphological changes of E. faecalis biofilm by NaClO, PPW or DW were investigated by SEM. NaClO can disaggregate and remove biofilm at all times, and treatment with PPW can cause a high degree of biofilm disaggregation. SEM analysis showed that 5% NaClO eliminated the bacteria completely, PPW was capable of disrupting and removing the biofilm, but not eliminating the bacteria. According to the results, PPW showed the highest eliminatory effect on the E. faecalis-derived biofilm.
著者
梶川 裕矢 森 純一郎 中村 裕子
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、パテントプールにおいて必須特許となる特許の特徴を分析した。必須特許が引用しているBackgroundの特許群(B)、ならびに、Backgroundの特許群を引用(Citing)している特許群(C)のデータベースを構築し、必須特許との特徴の差異を分析した。その結果、必須特許群(V)は特許群(C)よりも出願年が古く、先行技術の優位性が示された。しかし、(C)かつ(B)である特許群は、必須特許よりも前方引用が少なく、後方引用が多い、出願年が古いという特徴を有していることが分かった。すなわち、必須特許は先行する基本特許の上に、各規格や標準に合わせた改良を加えたものであると推察できる。
著者
中村 裕子
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 = Journal of the Society of Humanities
巻号頁・発行日
no.105, pp.73-83, 2019-02-25

本稿はバルネラビリティの概念についてレビューし,ソーシャルワークに必要な視座について示唆を得ようとするものである。 福祉ニーズの多様化・複雑化,高齢化による人口減少が顕在化している近年の日本では,契約モデルによるケアの限界が指摘されている。それに代わるものとして,バルネラブル・モデルによるケアが必要であるとされている。バルネラビリティは身体的にも精神的にもすべての人にある性質であり,それを補うために社会が形成される。しかし,人が作る社会は不完全なものであるため,バルネラブルな立場に置かれる人が,必然的に存在してしまう。それ故に,バルネラブルな立場に置かれる人のケアは社会の責任であると言える。ソーシャルワーカーはこの視座に立つことが必要であり,そのような実践が人々のつながりを育むと思われる。論文Article
著者
永井 悦子 勝野 朋幸 紺屋 浩之 小西 康輔 中村 裕子 美内 雅之 片岡 政子 浜口 朋也 宮川 潤一郎 難波 光義
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.295-300, 2009-04-30 (Released:2010-03-01)
参考文献数
10

症例は44歳,女性.2007年2月に統合失調症に対し服用中のリスペリドンを3 mg/日に増量した頃より口渇が生じ,3月4日全身痙攣,血糖値2089 mg/dlにて,糖尿病性非ケトン性高浸透圧昏睡と診断した.同薬を中止し,インスリン加療を開始.治療経過良好にて,退院後は食事療法のみとなった.7月より妄想が出現しペロスピロンを開始した.12月にアリピプラゾール6 mg/日を追加したところ,5%台前半であったHbA1cが2008年1月25日受診時8.4%となった.外来でインスリン治療を再開するも血糖コントロールの改善なく,3月1日入院となった.当初,30単位/日のインスリンを要したが,アリピプラゾール中止後速やかに使用インスリン量が減少し,再び食事療法のみで血糖コントロール可能となった.米国精神医学会治療ガイドラインでは,アリピプラゾールは糖・脂質代謝異常を来たす危険性がない,あるいは治療域で稀にしか副作用が起きない薬剤とされているが,使用時には血糖測定をはじめ慎重な観察を行う必要がある.
著者
中村 裕子 森 一将 横瀬 敏志
出版者
明海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、歯髄保存と歯髄再生に有効なEnamel matrix proteinの機能を解析することが目的であった。そのためエムゲイン・ゲル(ビオラ社製)を用い、ラット臼歯の直接覆髄や脛骨穿孔後の治癒過程を検討した。また血管新生・組織誘導について検討した。結果:①ラット歯髄や脛骨穿孔後の創傷治癒に対して促進効果があることが認められた。②組織誘導効果を検討した結果、多くの血管を含んだ結合組織の誘導が観察された。③血管内皮細胞の管腔形成を促進した。これらの結果から新生血管・結合組織の誘導能を有することが示唆された。