著者
古市 将樹
出版者
常葉大学教育部初等課程研究企画部会
雑誌
教育研究実践報告誌 (ISSN:24360112)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.27-36, 2021-03-01

本論は、平安時代の能筆を意味する「三筆」(空海・嵯峨天皇・橘逸勢)と「三蹟」(小野道風・藤原佐理・藤原行成)に関するいくつかの疑問、特に、なぜ彼らが他の能書と比べて別格的な位置づけをされているのかについて、先行研究の状況を整理するとともに、記号学的な観点から、それら「三筆」・「三蹟」の呼称が記号としてはたらくことで、別格的な位置を確保したと考えられることを論じている。現在、これに関しては、「三筆」や「三蹟」が記号として成立し作用する具体的な場面が教育(教科書)に見い出せる。それは、特別な意図を含まない平明な歴史的事実の記述によって構成されているが、同時に、三筆・三蹟の説明文が、「三筆」「三蹟」の呼称を記号化し、書道史的に不明な部分を補って、それらを別格のものとしている状態でもある。本論はこのこと状況を分析・抽出するものであり、本稿はその第一弾である。

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興味深い。「日本語対応手話」と「手指日本語」、さらには「日本手話」という用語自体の記号学的動態を分析した記事を書くのも一興。ただ社会言語学的視座とどう区別し得るかは今後の課題か。 vid. 三筆三蹟はなぜ三筆三蹟なのか (1)三筆三蹟の語られ方について https://t.co/7Je4D0g4iM
古市 将樹 - 三筆三蹟はなぜ三筆三蹟なのか (1)三筆三蹟の語られ方について 【本論でおこないたいのは、「三筆」「三筆」という呼称ができ て、他の能書を三筆・三蹟から区別(分節)する記号として作用したという指摘である】 https://t.co/EVKYnc0Fzr

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