著者
横川 昌史
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
no.75, pp.107-111, 2021-03-31

2020年に入ってから,全世界的に新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている.日本国内 において,新型コロナウイルス感染症拡大防止のために,春の半自然草原の火入れを中止した地域が 多数見られた.感染症が草原の管理に影響を与えた記録は重要だと考えられるため,インターネット 上で見つけられた新型コロナウイルス感染症に関連した火入れの中止について記録した.2020年2月下 旬から5月中旬にかけて,Google や Twitter・Facebook などの SNS で,「火入れ」「野焼き」「山焼き」「ヨ シ焼き」「コロナ」「中止」などのキーワードを任意に組み合わせて検索し,新型コロナウイルス感染 症の影響で中止になった日本国内の火入れを記録した.その結果,14道府県18ヵ所の草原で火入れが 中止になっており,4県4ヵ所の草原で制限付きで火入れが実施されていた.これら,新型コロナウイ ルス感染症による半自然草原の火入れの中止は,草原の生物多様性や翌年以降の安全な火入れに影響 を及ぼす可能性がある.

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