著者
佐藤 宗子
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 = Bulletin of the Faculty of Education, Chiba University (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
no.69, pp.334-329, 2021-03-01

[要約] 「現代児童文学」を代表する作家・評論家の一人、古田足日の中級向けSF短編集『月の上のガラスの町』所収の「アンドロイド・アキコ」は、一九六四年に初出誌に発表された時点から、盛光社刊行の初刊、そして加筆訂正された童心社版と、改稿されつつ読み継がれてきた。古田の短編の代表作である同作の改稿過程を丁寧に検証することを通して、そこにみられる「子ども」観、「ジェンダー」観、さらには「恋愛」にまつわる言説に関する「近代」観を追究していった。古田は六〇年代の早い時期からSFに関心を抱き、月面上の町という架空の設定をしたが、そこでの男女の人物造型における当初の自身の設定を、後の加筆訂正で否定してみせる。そこには、「枠」から「枠組み」へと子どもを見る目を問い直すという後の提唱につながる意識を見ることができる。今後は、同時期の古田の批評活動や「現代児童文学」の動向も視野に入れて、より広がりを持ちつつ、この作品を基軸として追究していくことができるだろう。

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佐藤 宗子 - 「現代児童文学」展開期における「アンドロイド・アキコ」の模索 : 古田足日の「近代」「ジェンダー」「子ども」観 https://t.co/sUa6D3CogI
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