- 著者
-
堀岡 喜美子
- 出版者
- 佛教大学大学院
- 雑誌
- 佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
- 巻号頁・発行日
- no.49, pp.99-115, 2021-03-31
日本の歴史上、神仏や霊との意思伝達者(託宣者)はミコと称されその多くが女性である。柳田國男はその理由を古代からの「女性の特性」にあると説いている(「ミコ女性論」)。しかし、古代からの史料を概観すると、女性が「託宣者」として「特化」するのは摂関期であると推定される。摂関政治隆盛期の公卿藤原実資の日記『小右記』に記された託宣者を検証したところ、その特性は女性による直接言語によるものと判明した。なぜ、摂関期に託宣者が女性に特化されたのか、当時の貴族女性が置かれた状況を社会史、精神医学から検証した。結果、女性の苦難、葛藤からの脱却手段として現れる憑依現象が、託宣者として認識された可能性を導き出した。「ミコ女性論」摂関政治女性の苦悩直接言語託宣者憑依現象