著者
赤松 大輔 小泉 隆平
出版者
近畿大学 心理臨床・教育相談センター
雑誌
近畿大学心理臨床・教育相談センター紀要 (ISSN:24349933)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-12, 2021-03-15

[要旨]本研究では,昼間定時制高校の新入生を対象として,彼らの自尊感情の高さと変動性に関する検討を行った。118名の生徒に4月,7月,11月にわたる3時点の縦断調査を行った。相関分析の結果,自尊感情のレベル(3時点を通した自尊感情の平均的な高さ)と変動性(3時点にわたる自尊感情の個人内の変化の大きさ)の間には,統計的に有意ではなかったものの,理論的に妥当な負の相関(r = -.14)が示された。また,自他の情動を適切に認識し,調整する能力である情動知能との関連も検討した。その結果,状況対処や感情制御にかかわる情動知能は,自尊感情のレベルと有意な正の相関(r = .58)を,自尊感情の変動性と有意な負の相関(r = -.30)を示した。この結果から,状況対処や感情制御にかかわる情動知能が,自尊感情の高さと安定性に寄与する可能性が示唆された。考察では,教育場面において子どもの自尊感情のレベルと変動性の双方を支えるうえで,情動知能に着目した教育的支援の在り方の重要性について議論した。

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「昼間定時制高校新入生における情動知能と自尊感情の関連―自尊感情のレベルと変動性に着目して―」ここから読めます https://t.co/cvAeeyNCOd

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