- 著者
-
赤松 大輔
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.2, pp.265-280, 2017 (Released:2017-09-29)
- 参考文献数
- 64
- 被引用文献数
-
15
本研究では, 高校生723名を対象として, 英語の学習観と学習方略および学業成績の関連を検討した。因子分析の結果, 教科共通の学習観として学習量志向と方略志向, 教科固有の学習観として伝統志向と活用志向, 間接的方略としてメタ認知的方略と社会的方略, 直接的方略として体制化方略, イメージ化方略, 反復方略, そして音声記憶方略が見いだされた。パス解析の結果, 学習観においては教科共通の学習観が教科固有の学習観を規定し, 学習方略においては間接的方略が直接的方略を規定するというように, 学習観内と学習方略内にそれぞれに規定関係があることが確認された。また, 学習観と学習方略の間には, 教科共通の学習観が間接的方略を予測する教科共通の学習プロセスと, 教科固有の学習観が直接的方略さらには学業成績を予測する教科固有の学習プロセスがあることが明らかになった。この結果を踏まえ, 学習行動全体を改善するためには教科共通の学習プロセスに注目し, 英語学習における学業成績を改善するためには教科固有の学習観に注目するというように, 学習観と学習方略の関係を教科共通と教科固有の両観点から捉える必要性が示唆された。