- 著者
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板垣 竜太
Ryuta Itagaki
- 出版者
- 同志社社会学研究学会
- 雑誌
- 同志社社会学研究 (ISSN:13429833)
- 巻号頁・発行日
- no.25, pp.45-65, 2021-03
本論文は、北朝鮮で活躍した言語学者・金壽卿(1918-2000)が記した朝鮮戦争手記(1994年脱稿、未公刊)を資料とし、そこに登場する研究者や学生の記述を抽出して分析することにより、既存の研究では明らかにし得なかった戦場および戦前・戦後の知識人らのリアルな姿を浮かび上がらせようとするものである。まず、この手記は金壽卿が主に離散家族向けに書いたものであるという資料の性格を明らかにしたうえで、言語学者に関する記述と戦時中または戦後に死去または行方不明となった人々に関する記述に分けて、手記の内容を検討した。こうした検討作業を通じて、この手記の記述が戦地に赴いた知識人の揺れ動く姿を等身大で描いたものであると位置づけた。研究論文(Original paper)