著者
大薗 博記 吉川 左紀子 渡部 幹
出版者
The Japanese Society for Cognitive Psychology
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.157-166, 2006

進化論的枠組みで顔の再認記憶について検討したこれまでの研究は,人は協力者として呈示された顔より非協力者として呈示された顔をより再認しやすいことを明らかにした(Mealey,Daood,& Krage,1996; Oda,1997).しかし,顔を憶えているだけではなく,その人物の協力性までも記憶されているかは明らかにされてこなかった.本研究では,まず60人の実験参加者に,未知顔の写真を1回限りの囚人のジレンマ・ゲームにおける (偽の) 選択 (協力/非協力) とともに呈示した.そして1週間後,元の写真に新奇写真を混ぜてランダムに呈示し,その顔を1週間前に見たか否かと,その人物と取引したいか否かを尋ねた.その結果,顔の再認課題では,先行研究とは一貫せず,協力者と非協力者の写真は同じ程度に再認された.一方,協力者に対して非協力者に対してよりも,より「取引したい」と答える傾向があった.興味深いことに,この傾向は憶えられていた顔に対してだけでなく,憶えられていなかった顔に対しても見られた.この結果は,潜在的記憶が協力者と非協力者を見分けるのに寄与していることを示唆している.

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こんな論文どうですか? 協力性の情報が顔の記憶と行動選択に及ぼす効果:社会的交換課題を用いて(大薗 博記ほか),2006 https://t.co/Ij9DbypHdA

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