著者
萩屋 薫
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.165-173, 1952
被引用文献数
1

1. すの發現機構を明かにするため大根の品種間に於けるすの發現の難易性を調査し, それに關連を有する形質を檢討したるに大要次の如き結果を得た。<br>2. すの發現は一般に早生でT/R率の降下が早い品種ほど著しく, 晩生で根部の肥大がおそい品種にはすが入り難い。<br>3. 内部形態的に見ると根肥大に伴う組織的變化が早く柔組織が發達しその細胞も大形であるような品種にはすが入り易く之と反對の傾向を持つた品種ではすが入りにくい。<br>4. 根肥大の晩い品種は一般に根に澱粉を有し又可溶性物質の含量も高いが, すの入る早太りの品種は澱粉無く糖を有し, 可溶性物質の含量も低い。<br>5. すの發現はいずれの品種に於てもT/R率が最低を示す時期にあたる。この時期には根の組織の充實度が最も低下する。<br>6. すの分布状態は品種によつて異なるが, それは主として根身内の通導組織の分布状態が品種により異なるためと考えられる。<br>7. すの發現は根の生長が旺盛で葉の同化能力以上に急激に根肥大が行われるため充實が之に伴わず起るものと考えられる。<br>8. 根の肥大は早くてもその充實がよい時無のような品種はすが入り難い。之には地上部の同化能力が大なることが少くとも1原因となると考えられるが, 何れにしてもこの種の品種は耐鬆性大根の育種上に意義を持つものと考えられる。

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