著者
久保田 紀久枝 小林 彰夫 山西 貞
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.1049-1052, 1982
被引用文献数
4

オキアミ加熱臭の特性をより明確にするために,外観上よく似ているサクラエビ生凍結品の加熱臭をオキアミと同様に分析し,比較検討を行った.本研究では,とくに含硫化合物に注目した.<br> 1)GC-FPD分析の結果,一定のt<sub>R</sub>の範囲(Fr.A)に含硫化合物が集中していたが,これは,オキアミボィル凍結品と類似していた.<br> 2) サクラエビのFr. Aの成分をGC-MSで分析した結果,9種の化合物が同定された.そのうち8種は,トリチオラン類(3種),ジチイン類(1種),チアゾール類(1種),チアルジン類(3種)からなる含硫化合物であった.このうち,チアルジンが最も多く,Fr. Aの58,2%を占めていた.<br> 3) オキアミとサクラエビの匂い成分の槽違点は,含まれている化合物の種類は共通しているものが多いが,組成は異なり,サクラエビは側鎖にエチル基を持つものが少なく,これが匂いにも影響していると思われた.<br> 4) サクラエビ加熱臭成分中の低分子アルデヒドをTLCで検索した.エタナールに比べプロバナールが非常に少ないことが示され,プロパナールが前駆体の1つとなるチアルジンのエチル誘導体がサクラエビに少ない結果をよく説明していた.

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